【米国株】地熱発電を垂直統合で行うOrmat Technologiesの強みとは？

2021-01-16

2021年に入ってから、再生可能エネルギーに関する事業を行っている企業が新高値をよく更新しています。

再生可能エネルギーには、太陽光・風力など、いくつか種類がありますが、今回は、地熱発電事業を行っているOrmat Technologies Inc.を分析したいと思います。

地熱発電の強みとは？

地熱発電は、マグマの熱を利用して、発電します。

そのため、マグマで加熱された地熱流体を地中から取り出す井戸を建設する必要があり、建設のコストが高くなるなどのデメリットがある一方、天候の影響を受けず、安定的な発電が可能です。

再生可能エネルギーでは、安定的な電力供給が求められます。
各企業は、発電所を地域的に分散する、あるいは、需要よりも供給が多くなるときは、電力を貯蔵することで、リスクヘッジを行っています。

再生可能エネルギーがさらに普及していくと仮定すると、リスクヘッジの１つの選択肢として、より安定的な地熱発電は、重要性が増してくる可能性があります。

Ormat Technologies Inc.に出資しているオリックス株式会社もいくつかの再生可能エネルギーを組み合わせ、ポートフォリオとして考えているようです。
https://www.orix.co.jp/grp/company/sustainability/carbon_society/

Ormat Technologies Inc.は、地熱資源開発・地熱発電事業から、地熱発電設備の設計・製造・販売事業までを行う、地熱事業の垂直統合企業です。

より具体的には、下記３つの事業を行っています。

（１）地熱発電事業
（２）地熱発電設備設計・製造・販売事業
（３）エネルギー貯蔵・管理システム事業

2020年3月2日に提出された10-Kの収益を見てみると、2019年時点で、発電事業の収益が全体の約72%であることがわかります。

また、エネルギー貯蔵・管理システム事業は、他事業と比較すると、収益はまだ小さいものの、収益の増加率は、高いことがわかります。

逆に、地熱発電設備設計・製造・販売事業は、収益が減少しており、それほど、力を入れていないのかもしれません。

Form 10-Kより引用

各事業の概要を整理します。

（１）地熱発電事業
地熱・太陽光、廃熱などを利用した再生可能エネルギー発電事業を行っています。
ポートフォリオの94%が地熱発電であり、環太平洋火山帯に沿って、発電所を建設しているようです。

収益の年平均成長率も9.5％と、この事業が年々成長していることがわかります。

（２）地熱発電設備設計・製造・販売事業
地熱発電・廃熱発電のための設備設計・製造・販売を行っています。
この事業領域では、東芝や三菱などが強いようです。

収益も少しずつ減っており、それほど力を入れてない可能性があります。

（３）エネルギー貯蔵・管理システム事業
再生可能エネルギー事業において、需要と供給のバランスを取るために欠かせない、エネルギー貯蔵システム、および、エネルギー管理システムを提供しています。

これらのシステムがあることで、太陽光発電・地熱発電などで生み出した電力を、変動する需要に合わせ、柔軟に供給できるようになるだけでなく、余った電力を販売することもできるようになります。

いわゆる「スマートグリッド」を実現するための技術を提供する事業です。

地熱発電は、安定的に電力を供給できることに強みを持ち、そのほかの再生可能エネルギーの競合ではなく、補完関係にあると考えられます。

太陽光発電などの他の再生可能エネルギーに比べると、建設コストが高いなどのデメリットもありますが、安定的な電力供給のリスクヘッジを考えると、ポートフォリオの１つとして、重要となる可能性があり、今後も注目の企業です。

エンジグラフを活用することで、Ormat Technologies Inc.の最新ニュースやプレスリリースを簡単に収集することができます。

ぜひ、活用してみてください。