【米国株】アニマルヘルス業界で急成長中ゾエティスの今後10年の狙いとは?
2020-11-23

今回の記事では、アニマルヘルス業界で急成長しており、多くの投資家からも注目されているゾエティス(Zoetis, Inc.)の事業を解説します。
- 目次
- ゾエティスってどんな企業?
- ライブストック向け事業の製品とは?
- コンパニオンアニマル向け事業の製品とは?
- 牛のモニタリングを行う「SMARTBOW」
- なぜ、ゾエティスが「精密畜産農業」のシステムを開発・提供するのか?
- 情報収集には、エンジグラフを活用しよう
ゾエティスってどんな企業?
ゾエティス(Zoetis, Inc.)は、動物用医薬品、ワクチン及び診断検査などのアニマルヘルスに関する製品・サービスを提供している企業です。
沿革などは、下記ページを参考。
https://www.zoetis.jp/company/about/index.aspx
2019年は、売上高62億ドル、営業利益20億ドル、営業利益率32%であり、時価総額は約630億ドルになります。
また、増配率は、過去5年で平均26%になります。
事業は、主に、①ライブストック(畜産)向け事業と、②コンパニオンアニマル(ペット)向け事業の2つになります。
2020年第3Q決算では、米国では、ライブストック事業が13%の収益増、コンパニオンアニマル事業が21%の収益増となっています。

Zoetis, Inc.「THIRD QUARTER 2020 FINANCIAL RESULTS 」より引用
世界でも、コンパニオンアニマル事業が17%の収益増となっています。

Zoetis, Inc.「THIRD QUARTER 2020 FINANCIAL RESULTS 」より引用
ライブストック向け事業の製品とは?
ライブストック向け事業では、牛や豚、羊などの家畜向けの抗菌剤・ワクチン・寄生虫駆除剤などを販売しています。
※詳細は、下記ページを参考。
https://www.zoetis.com/products-services/farm-animals/index.aspx
個人的に、ライブストック向け事業で注目しているのは、「PRECISION LIVESTOCK FARMING」(精密畜産農業)です。
効率的な管理を行うため、家畜にデバイスを装着し、健康状態などを常にモニタリングする、新しい畜産農業のスタイルになります。
コンパニオンアニマル向け事業の製品とは?
コンパニオンアニマル向け事業では、犬、猫、馬を対象に、抗菌剤・寄生虫駆除薬・ワクチン・皮膚科治療薬などを販売しています。

コンパニオンアニマル市場については、下記のように予測されています。
世界のコンパニオンアニマル用特殊医薬品の市場規模は、2020年から2024年の間に22億9,000万米ドルの成長が見込まれており、予測期間中のCAGRは5%の見込みです。同市場はペットを人間のように考える傾向の高まり、病気の予防とペットの保険についての意識の高まり、および高齢化するコンパニオンアニマルの増加によって推進されています。
コンパニオンアニマル市場の成長に伴い、今後も収益が継続的に成長していくことが期待できます。
牛のモニタリングを行う「SMARTBOW」
ゾエティスが、精密畜産農業のために提供している製品を1つピックアップしてみます。

SMARTBOWホームページより引用
牛の耳にデバイスをつけ、咀嚼活動をモニタリングし、健康状態の診断を行うことができます。
また、体温を測ることで発情検知を行い、効率的な妊娠へ繋げます。
位置情報を常にモニタリングしているので、健康に問題がある牛などがいれば、すぐに見つけることができます。


SMARTBOWホームページより引用
このシステムの目指していることは、牛のデータを集め、人工知能で解析することで、早期の病気発見・発情検知を行い、効率的な経営をサポートしようというものです。
発情検知の重要性は、下記のような資料から理解できると思います。
和牛繁殖経営では、その収入源を子牛の販売に大きく依存しています。そして子牛を生産するには、その母牛を妊娠させる必要があり、発情を発見して種付けをするという和牛繁殖生産者にとって最も基本かつ重要な作業を徹底できるかにかかっています。
なぜ、ゾエティスが「精密畜産農業」のシステムを開発・提供するのか?
ゾエティスは現在、動物用医薬品を販売しています。
「精密畜産農業」のシステムを提供し、常に家畜の健康状態をチェックすることで、健康状態が悪い個体がいれば、その個体の症状に合った医薬品を、すぐに提案・販売することができるようになります。
結果として、医薬品の売上を、効率的に増加させることができると考えられます。
つまり、現在の収入源となっている事業の営業ツールになる可能性があり、既存事業との相乗効果も大きいと考えられます。
ライブストック向け事業で「精密畜産農業」により、動物用医薬品の売上を押し上げることができれば、コンパニオンアニマル向け事業でも同じようなビジネスモデルを作ることができるかもしれません。
今後10年は、アニマルヘルス業界、および、ゾエティスに注目です。
情報収集には、エンジグラフを活用しよう
エンジグラフを活用することで、ゾエティスやアニマルヘルス業界の最新ニュース・プレスリリースを簡単に収集することができます。
ぜひ、活用してみてください。
